障害のある人も子育て中の人も、ともに働ける場を作る。

prpfile

 株式会社 農環 取締役 那須 信子(なす のぶこ) 1975年、滋賀県生まれ。

 高校卒業後、大手ハウスメーカーに就職し退職。その後、結婚した4ヶ月後に夫が事故により急死し、お腹に子どもがいる状態で突然の母子家庭に。

社団法人滋賀県社会就労事業振興センターに就職し、障害者への就労支援・新規事業の開拓に携わる。

障害者などの労働を支援すべく株式会社農環を設立。

古紙回収やペットボトルリサイクル事業、洋服のリフォーム・リメイク技術指導校(縫工房)など、持ち前のアイデアと行動力で幅広く事業を展開。

障害を持つ人や子育て中の人の働く場を作り出している。
那須信子へのメッセージはコチラ

about

障害者や母子家庭の母親を支援して行きたい

 那須信子さんは、お腹に子どもを身ごもっているときに、突然の事故で夫を亡くすという経験をしています。そしてこのときに味わった、母子家庭の母親が幼い子どもを抱えて働く場所を探すことの難しさは、後に、社団法人滋賀県社会就労事業振興センターに就職し、障害者への就労支援に携わるなかで、ひとつの思いに結びついていきました。

「例えば、障害者が内職仕事などで得られる工賃は、滋賀県で1ヵ月平均15,000円程度です。世論では、障害者に自立を求めますが、こうした経済状況では難しいですよね。また母子家庭であれば、私自身もそうですが、子育ての合間を縫って働かなくてはいけないので、働ける場所が限られます。社会的弱者が置かれているこの問題をどう解決していったらいいのか…というのがありました」

そこで那須さんは、同センターで培った人脈を頼りに、起業を思い立ちます。「マスコミ関係者、コンサルティング会社の方、環境分野に携わる方など、さまざまな業種の方々と出会ったことで、何かできるのではないか…と思ったのですね。背中を押してくださった方が多かったというのもありますが、ダメもとで始めたというのが正直なところです」

単独事業ではなく共同事業へのこだわり

 社会的信用を得るために、最初から法人化することを決めていた那須さんですが、資金はまったくなかったとか。当時は、会社設立に有限会社でも最低300万円以上の資本金が必要だったので、最低資本金規制特例制度(*)を利用したのだそうです。とはいえ、開業資金は必要ということで、株主としてご協力くださった方や、事務所の開設資金ということで各方面から100万円を寄せ集めました。

那須さんにとっての最初の仕事は、障害者が働く授産施設のスタッフたちと始めた古紙回収事業でした。

「ただ、単独事業ではなく、共同事業にしたかったのです。県内に授産施設は100ヵ所以上あり、なかには個々で廃品回収を行っていたところもありましたが、1ヵ所よりは10ヵ所、20ヵ所と協力し合って回収したほうが回収量が増えるし、効率もよく計画も立てやすいわけです。なので、授産施設を一ヵ所一ヵ所まわって事業説明しましたが、新しい事業なので皆さんすぐにはのってこない。そこで、自社だけで回収業を始めて、これだけの実績があるから、参加しませんか?と持ちかけたのですが、最初の半年は本当にしんどかった」

そして、徐々に賛同してくれる授産施設も増え、少しずつ業績が伸びはじめます。

背水の陣の後に見えてきた夢

 転機は起業して一年半ほど経ったときでした。業績が頭打ちになり、子育ても大変な時期だったため、誰かに任せて自分は退くことを考えていたと言います。

「そしたら従業員に、“那須さんだから大変でも付いてきた”と言われて…。必死でやってきたけど、自分の置かれている立場がわかっていなかったんですね。そこからは背水の陣です」

もう後戻りはできないと思った那須さんのがんばりが功を奏したのか、再び業績が伸びはじめました。

現在、那須さんは、障害者雇用と環境事業を結びつけるために、企業や団体と手を取り合って、「エコ村」構想を育んでいます。

「廃棄物を回収リサイクルすることで地域循環を目指そうという試みで、環境と障害者に理解ある人や企業が集まって、障害者の月平均15,000円の工賃を10倍に上げよう!と、事業計画しています。すでにNPO法人として認証も取得しました」

そして那須さんの夢は、リサイクル事業だけでなく農業にも及びます。現在行っている、こだわり野菜を直販する「露地屋」の経営や、母子家庭の母親たちによる野菜の宅配もそのひとつ。

「環境分野もそうですが、農業分野とのコラボレーションも、いままで障害者福祉ではなかったことなので、そこに面白さを感じています。いずれは農地を取得して、そこで育てた野菜を販売したい」

また、那須さんの会社では、母子家庭の女性従業員が5.5時間の短時間正社員として他の社員と同じ給料を得るなど、先駆的な雇用体制も整えつつあります。

「強者が弱者を支援するだけでなく、弱者同士が支え合う環境づくり」は、ビジネスとしても大きな可能性を持っているのではないでしょうか。

厚生労働省 わたしと起業.com に掲載された記事をお借りしました。2007年取材)

media

 これまで沢山のメディアに取り上げていただきました。これにより少しでも多くの方々に私たちの活動を知っていただき、賛同して下さる方が増えるのではないかと嬉しく思っております。ありがとうございます。

※一部ご紹介させていただきます。

雑誌「アントレ」2008年12月号に掲載されました。(表紙にも載ってま~す。)

厚生労働省「わたしと起業.com」に掲載されました。

「チャレンジサイトしが」に掲載されました。

小泉総理がスピーチで紹介して下さいました。(政府インターネットテレビ番組ガイドの新着情報に抜粋記事が掲載されています。

小泉内閣メールマガジン 第236号 [特別寄稿]に掲載されました。

ドリームゲートに掲載されました。

他にも色々なメディアに取り上げていただいています。本当にありがとうございます。